DOTS戦略とは?


DOTSにより服薬する患者

Directly Observed Treatment,Short-course               

(直接監視下短期化学療法)

結核患者を発見し治すために世界中で使われている、プライマリー保健サービスの包括的戦略の名前です。DOTS戦略の一環として、ヘルスワーカーが助言し、薬の強力な組み合わせであるそれぞれの用量を患者が飲み込むのを直接確認し、そして患者が治癒するまで保健サービスが経過をモニターします。政治的および財政的な積極的関与と信頼できる薬剤供給体制は、DOTS戦略の必須部分です。(出典:『結核蔓延に関するWHOレポート1997』,P5)

 

DOTS戦略の5つの要素およびその理由(出典:『結核蔓延に関するWHOレポート1997』,P5)

1. 政府の積極的な取り組み

対策上、政府とNGOは財政的な関与が長期に必要であり、そうすることで、全ての結核患者が治療を無料で利用する機関を持つことを保証しています。結核対策は、既存のヘルスケアシステムに組み込まれ、中央政府の結核対策部門のリーダーシップの下に行わなければなりません。対策のマニュアル、適切なトレーニング計画、国からの適切な指導計画、将来計画をきちんと備えていてはじめて、国の結核対策が十分支援されていると言えます。

2.有症状受診者に対する喀痰塗抹検査(注)を主とする患者発見

(注)顕微鏡で患者の喀痰の検査をすることによって肺結核かどうかを診断すること。もし結核菌が発見されたら、その患者は「喀痰塗抹陽性」(略号“SS+”)として分類されます。

喀痰塗抹陽性の人は感染源なので、まずこういった症例を見つけて治療させることに人的金銭的資源を向けなければなりません。高い治癒率が得られるまで、住民検診などで積極的に患者を探すべきではありません。結核を撒き散らしてより社会に害を与えている患者を治すことから、乏しい財源を奪ってしまうからです。

3.適切な患者管理のもとでの標準化された短期化学療法の導入

治療開始後2ヶ月は症状が重く、薬剤耐性を獲得するという危険があり、そして他人に対し感染の脅威であるという点で、特に重要です。予定通りに薬を飲みに来ない患者には直ちに連絡をとり、治療を再開しなければなりません。監視者が保健サービスに責任を持ち、患者のところまで足を運べるならば、監視下の治療は、柔軟で革新的なものとなります。

4.抗結核薬や検査試薬などの消耗品の確実な供給

結核菌に対して必殺的な効果のある薬には、イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、ストレプトマイシン、エタンブトールがあり、これらはWHOガイドラインに従い通常6〜8ヶ月間投与されます。ヘルスシステム全体にわたり、抗結核剤の確実で良質の供給体制を整えることが、結核患者の治療が絶対に中断しないことを保証するためのDOTS戦略の必須部分なのです。

5.標準化された記録・報告に基づいた対策の評価

治療成功を確認するのに必要なことが2つあります。第1は、感染性の患者の場合、治療開始2ヶ月後と治療終了時に、患者の痰に結核菌がいないことを確認するため、喀痰を顕微鏡下で検査する必要があります。第2に、治療経過と治癒を評価するため、記録し報告するシステムが必要です。各グループの患者の分析を行うことにより、保健サービスが、85%の治癒率を得ていない地方や集団を迅速に確認することができ、その地域の対策をさらなる支援とトレーニングによって改善することができます。

 

しかし、DOTSはまだ広く普及していません…

確かにDOTS戦略によって結核治療に進展はありましたが、全結核患者のたった32%しかDOTSで治癒をしていません(2001年)。しかし、DOTSを採用していない場合の結果はさらに悪いものとなります。DOTSを採用しなければ、結核患者や結核による死亡者は決して途絶えることはなく、世界的な流行に歯止めがきかなくなり、さらに治療が難しい多剤薬剤耐性結核が増加します。呼吸をしていれば、世界のどこにいても結核に感染する危険性があることを忘れないでください。いったん多剤薬剤耐性結核が大発生してしまうと、もう止めることはできません。私たちは、エイズやエボラ出血熱のような治癒困難で致命的な、空気感染する病気に直面するでしょう。このような恐ろしい未来はなんとしても避けなければなりません。

(参考: http://www.who.int/gtb/dots/index.htm)

 

2000年(平成12年) DOTS戦略に日本はどう取り組むべきか(PDF)

2001年(平成13年) 世界の結核対策の現状(PDF)

2001年(平成13年) Stop TB パートナーズ・フォーラム(PDF)

2002年(平成14年) 第3回DOTS拡大作業部会会議報告(PDF)


戻る