ルンビニ・プロジェクト

 

 

−技術評価報告−/H10年2月26日〜3月7日

プロジェクト進行状況

第一健康相談所診療部長 増山 英則
事業部普及課国際協力室主任 久保田登子

◆現状

 ルンビニプロジェクト(以下TCPLR)は、ルンビニヘルスセンター(以下ルンビニHC)に カルマハワとマシーナ両ヘルスポストをサブヘルスセンターとして加えた3カ所で実施されています。 1998年3月からはマシーナに代わって人口の多いスリブラヘルスポスト(人工2万5千人)がサブセンターに なります。ネパール国の指導下、同国結核予防会(NATA)ルパンデヒ支部が調整の役を担い、 中心となるルンビニでは、国の医師とTCPLRの検査技師、 脱落患者追跡者が協カしてDOTSを導入した治療活動を行っています。

◆治療成績

 1996年11月中旬〜現在までの患者は161名。うち新患の塗抹陽性は72.3%でした。 新患塗抹陽性の2ヵ月後菌陰性化率は70.2%であり若干低いです。 同じく新患塗抹陽性の治療成功率は71.4%で目標値85%には届きませんでした。 登録数が35人と比較的少ないため、死亡4人、脱落2人が影響したと考えられます。 これにはホーム ビジターを増員して脱落に対処することになりました。また陰性化率と成功率が低い要因として、 耐性結核、DOTSの不徹底、再治療者の新患者への混入、インドからの住所を偽った者の存在 なども考えられ、今後はN ATA側との症例検討の実施も考える必要があると思われます。

◆方向性

 TCPLRは当初、国の結核対策がカバーしていなかった地域で、国の方針を尊重すること を前提に、何もないところから独自に進められました。やがて体制が整い成果を上げ、国の対策も向上 してくると、その指導下に入り協力して行われるようになりました。
増山団長自らDOTSを
実施
  TCPLRはこの地域で 国が対策を実施する土台を築いたとも言えます。しかし、成績にはまだまだ向上の余地があり、 周囲にはカバーされていない地域も多く、TCPLRが行えることは多いと思われます。ただし、国側 とNATAの共存による今後の運営には、今まで以上に協調していくことが不可欠で す。
 現在TCPLR調整委員には、国立結核センターバム所長、JICA、結核対策プロジェクトチーム、 監督機関である西部地区結核センターヴァルマ所長ら国の関係者を加え、積極的に調整を図っています。 「国の結核対策に準拠したDOTSでよい成績が得られておリ、応援していきたい」 「NGOと国の調整が重要で、TCPLRを両国結核予防会との連帯のもと続けていきたい」と の支援のことばをヴァルマ所長から聴けたことは心強いところです。
 また、プロジェクトの必須事項である評価活動について、 本会が行ってきた治療成績の分析を、次からは国の結核対策の評価様式を用いてNATAが 実施することになりました。国の対策とTCPLRとの統合性、並びにNATAの実行力が さらに高まるものと思われます。

◆新たな可能性

 国のDOTS成功地域と呼べるヌワルパラシ郡では、治療成功率は90パーセント程度といいます。 ここでは各分野の担当者が、単に指導者の指示で現場で役目を果たすのではなく、計画段階から関わっ ていく参加 型プロジェクト(PCM. Project Cycle Management)手法が初めて 試みられています。TCPLRの参考とするため参加した現地のワークショップでは担当者たちの 熱心さに感心しました。NATA本部とルパンデヒ支部の職員も参加し、TCPLRの可能性も 広がるのでないかと思われました。
 また、近々、隣接するバイラワ市でも国がDOTSを始めることとなりました。同じ郡内であることか らTCPLRが得ることも多いと思われ、よりよい体制が築かれることが期待されます。

 

技術評価に参加して

総務部職員課 市川雄司

 結核予防会が独自の国際協力活動として行っているTCPLRは1998年で5年目になります。 プロジェクト自体も2期目となり、対象地域も広がり、またDOTSの導入により 治療方法にも変化が出てきました。
DOTSワークショップ会場
 今回の第一健康相談所増山診療部長を団長とした4名による 技術評価では、TCPLRでのDOTS進行状況の確認、ルンビニ地区のそばに あるヌワルパラシ地区で行われるDOTSワークショップヘの参加が主な業務となりました。
 1998年2月26日タイ国際航空でまずはバンコクに向かい、一泊してからカトマンズヘ。機上から ヒマラヤの山々が見えてきてしばらくしてから、トリブヴァン空港(カトマンズ)に到着しました。 想像以上の風景にカルチャーショックは隠せませんでした。ワークショップ会場はカトマンズから 飛行機と車で約2時間程の所にあります。ブトワル市のヌワルパラシと呼ぱれる地区で、周辺のヘルス ポストで働く関係者が集まって、結核治療・対策等を話し合いました。参加者は50人程で3つのグループに 分かれ、2日間かけて討議を進めました。参加者も皆さん熱心で討論も白熱し、結核対策にかける熱意 がよくわかりました。
 ワークショップに2日間参加後、ルンビニ地区へ移動し、プロジェクトの 技術評価をしました。ルンビニHCは白塗りの建物で、そこで結核以外の患者さんも診ているそうです。 視察中にもDOTSを受けるために患者さんがやってきて、私たちの目の前で薬を飲んでいきました。 医療関係者の目の前で薬を飲ませるという、いかにも簡単なやり方ですが、これがかなりの威カを 発揮しているそうで、これならお金もかからず、よい方法であるなと改めて感じました。 この後ルンビニHCに所属する2つのサブHCも併せて視察し、現場の雰囲気を肌で感じることが できました。
 私にとって今回初めての海外出張でしたが、今まで国際協カについては人から話を聞いた り、写真を見るだけで、頭の中でぽんやりとしか見えていませんでした。
ルンビニHCで台帳をチェック
   しかし実際現地に行き、 現地の状況を見ることで、まだまだこれからも継続して援助を行う必要性や、援 助を行うことで現実にプロジェクト対象地区では治療成績が上がっており、現地の方々に役立って いることが分かりました。
 国と国との国際協カとは違い、わが予防会が行っている規模は 小さなものですが、規模が小さな分、それだけ援助される側に立ったことが行われていると実感しまし た。
 このプロジェクトによっルンビニ地区の医療事情は良くなってきてはいますが、 まだ不足しているものもたくさんあります。プロジェクトが成功するためには、 今後更に継続して進めていく必要性を強く感じました。


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