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国際協力事業

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  WHO(世界保健機関)の推計によると、世界の総人口の約3分の1にあたる20億人が結核に感染しており、毎年880万人が新たに発病、140万人が結核で命を落としています。その95%以上は、アジアとアフリカを中心とした途上国に集中しており、特にアフリカでは、結核とHIV/エイズの重複感染が深刻な問題となっています。

  結核は保健医療の課題であるだけでなく、途上国の社会経済の発展を妨げ、貧困を深刻化させています。一方、グローバル化の進む現代、感染症に国境はなく、結核は地球規模の課題として位置づけられ、日本政府はもとより、各国政府、国際機関、NGO等が連携し、一丸となって征圧に乗り出しています。
 結核予防会は、長年にわたって国内の結核対策で培った経験や技術を、世界の結核対策の推進に役立てることを使命と考え、技術支援、政策提言、人材育成、研究などの活動に取り組んでいます。
 また、途上国の人々が結核に苦しむことなく健康な生活を送れるよう、草の根レベルの支援を行うため、カンボジア、フィリピン、ザンビアに海外事務所を設置し、地域の人々と協力して活動を進めています。

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技術支援
草の根レベルの地域支援

  結核を予防し、地域の住民が適切な医療を受けられるよう、草の根レベルの支援を行っています。現在は海外事務所を拠点として、フィリピンとザンビアでプロジェクトが進行中です。また、現地の結核予防会等を支援して、カンボジア、ネパールにおいて活動を行っています。

マニラ首都圏都市貧困地区における結核感染・発病予防モデルプロジェクト(フィリピン)

  フィリピンでは、結核が死亡原因の第6位であり、依然深刻な病気です。なかでも、都市貧困地区では、人々は換気が悪く狭い所に大人数で密集して暮らしており、劣悪な住居環境や栄養不良状態のため、結核に感染して発病するリスクが高い状況となっています。また、医療機関を受診すると収入の機会を逃すといった経済的理由などから、その他の地域と比べて受診が遅れる傾向にあります。そのため、結核の病状が悪化するだけでなく、周囲の人へ感染させてしまう状況をももたらしていると考えられます。

  そこで、フィリピンの都市貧困地区であるマニラ市トンド地区とケソン市パヤタス地区を対象に結核対策プロジェクトを2008年から開始しました。行政機関、保健所、NGOを巻き込んだ官民連携のネットワークを構築し、関係者が協力して国家結核対策に基づく適切な診断、治療を行い、治療を成功させ、住民が適切な結核治療を受けられるように地域における結核対策を支援しています。 2011年からは、ネットワークの強化に加え、結核健診による積極的な患者発見と潜在性結核治療の支援、多剤耐性結核の診断の支援、小児結核対策の支援などを行い、感染と発病の効果的な予防対策を実施する事業を行っています。

○現在の事業

2011年〜「フィリピン国マニラ首都圏都市貧困地区における結核感染・発病予防モデルプロジェクト」(JICA草の根技術協力事業/複十字シール募金)

○過去の事業

2008〜2011年「フィリピン国マニラ首都圏都市貧困地区における結核対策プロジェクト」(日本NGO連携無償資金協力/複十字シール募金)

◆事業報告書(フィリピン)フェーズT

◆事業報告書(フィリピン)フェーズU

◆事業報告書(フィリピン)フェーズV

住民参加による結核診断・治療支援モデル拡大プロジェクト(ザンビア)

 ザンビアでは、HIV/エイズの蔓延に伴い結核患者が急増し、結核はエイズ患者の最大の死因です。2006年の結核報告率は10万人対553で、1980年代の5倍以上です。全国の有病率が15.6%に達するHIV/AIDSの影響は色濃く、結核と診断された患者のHIV陽性率は、ルサカ市においては83.2%と極めて高くなっています。このような状況では、いかに早期に結核患者を発見し、治療を開始するかが重要です。しかし、多くの住民にとって医療機関が遠いことや検査費用が課題となります。

 そこで、2008年より、公的保健医療サービスが届きにくい地域において、結核とHIV/AIDSの早期発見を促進することを目的とした事業を開始しました。ルサカ市のバウレニ地区に検診センターを設立し、連携しているコミュニティ保健ボランティアが、結核が疑われる人をセンターへ紹介し、無料で痰の検査やレントゲン検査、同時にHIV感染の検査を行いました。また、DOTSを支援する活動や結核の普及啓発活動を行い、住民が主導的に結核対策に参加する体制づくりを促進しました。この成果を生かし、2012年からは、対象地区をチレンジ地区とチェルストン地区に広げて事業を進めています。

○現在の事業

2012年〜「ザンビア共和国住民参加による結核診断・治療支援モデル拡大プロジェクト」(JICA草の根技術協力事業/複十字シール募金)

○過去の事業

2008〜2012年「ザンビア国における住民主導による結核/HIVコミュニティDOTS対策プロジェクト(日本NGO連携無償資金協力/複十字シール募金)

◆事業報告書(ザンビア)フェーズT

◆事業報告書(ザンビア)フェーズU

◆事業報告書(ザンビア)フェーズV

ネパール・カトマンズ市(JANTRA)コミュニティ結核対策プロジェクト(2008年〜)

  首都カトマンズの結核患者の発見率は52%で、世界目標の70%に及びません。
現地NGO、JANTRA(Japan-Nepal Health and Tuberculosis Research Association)と協力して、都市としての結核問題を抱えるカトマンズにおいて、患者発見の向上を目指した活動を行っています。地域ボランティアによる患者支援や結核の健康教育を中心に、クリニックでの検査と治療、結核対策のネットワーク強化も進めています。

※この活動は、複十字シール募金の益金により運営されています。


◆事業評価報告書(2010年度国際開発協力関係民間公益団体補助事業)

CATA-JATA共同モデルプロジェクト(カンボジア)(2005年〜)

  CATA(カンボジア結核予防会)と共同でプロジェクトを実施しています。現在はプノンペン市で、工場労働者と高齢者を対象とした2つのモデルプロジェクトが進行中です。工場内の診療所から、結核が疑われる労働者を検査のためにヘルスセンターへ紹介し、診療所での治療を支援するほか、労働者を対象に結核の啓発ワークショップを開催しています。また、ヘルスセンターを通じて、コミュニティにおける高齢者の結核対策を支援しています。

※この活動は、複十字シール募金の益金により運営されています。

JICAプロジェクトの実施・支援

  JICA(独立行政法人国際協力機構)から委託を受け、途上国の結核対策を推進するための国家レベルのプロジェクトを実施しています。また、プロジェクトへの専門家の派遣も行っています。

  1960年代から今日まで、企画から評価までの一貫した技術支援を通じて、インドネシア、カンボジア、ネパール、パキスタン、フィリピン、イエメン、アフガニスタン等のプロジェクトを支援しています。

カンボジア国全国結核有病率調査を中心とした結核対策能力強化プロジェクト(2009年〜)

  カンボジアは、結核の患者数が人口10万人当たり664人(WHO Report 2009)と、早急な対策が必要とされる結核高蔓延国22カ国のひとつに位置づけられています。カンボジアでは20年にわたる内戦の影響により、感染症対策を含めた保健事業の進展が妨げられてきました。しかし、1990年代からは、CENAT(国立結核センター)を中心に結核対策が進められてきました。当会ではJICAを通じ、カンボジアへの結核対策の技術協力を展開しています。主な活動としては、1999年から10年間にわたり技術協力『結核対策プロジェクト』を実施し、CENATを拠点としてDOTSを中核とする包括的支援を行なってきました。また、2002年にはカンボジアで初めての全国有病率調査を成功裡に実施し国際的評価を得ました。

 本プロジェクトでは2010年から2011年に予定されている第2回全国有病率調査の実施を通じ、カンボジア国家結核対策プログラム(NTP)の結核対策能力の強化を目指します。


◆プロジェクト概要とニュースレター(JICA ホームページ)

結核技術支援プログラム

  世界有数の8団体による連携組織であるTB CTA(Tuberculosis Coalition for Technical Assistance;結核技術支援連合)に参加し、パートナーと協力しながら、途上国の結核対策を支援するTB CAP(Tuberculosis Control Assistance Program;結核技術支援プログラム)を実施しています。

  国別のプロジェクトとして、カンボジア、ザンビア、パキスタン、バングラデシュにおいて、国家レベルの結核対策プロジェクトを行っています。また、テーマ別のプロジェクトでは、ACSM、DOTS、PPM、TB/HIV、人材育成等、結核対策の重要分野を強化促進するため、研修、政策提言の作成などを行っています。

※TB CAPは、米国のODA援助機関であるUSAID(United States Agency for International Development;米国国際開発庁)より資金提供を受けたプログラム(2005〜2010年)です。KNCV(オランダ結核予防会)、IUATLD(International Union Against Tuberculosis and Lung Disease;国際結核肺疾患予防連合)、WHO結核部門、ATS(American Thoracic Society;米国胸部学会)、FHI(Family Health International)、MSH(Management Science for Health)とCDC(米国疾病対策予防センター)、日本の結核予防会により組織されたTB CTA(Tuberculosis Coalition for Technical Assistance;結核技術支援連合)により、世界20カ国で活動が行われています。

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支部国際協力拠出金による支援

  結核予防会各都道府県支部を窓口とした複十字シール募金の益金によって、途上国の結核対策を支援しています。

  結核研究所で実施している国際研修への研修生の招聘、海外で結核対策を推進する活動に対する資金的・技術的援助などを実施しています。また、在日外国人の結核医療支援等も行っています。

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人材育成

  国の結核対策をリードする人材を養成するため、結核研究所では、JICAから委託を受け、途上国の結核対策担当官、検査技師等を対象とした国際研修を実施しています。

 1963年の開講以来、およそ100カ国、2000人以上の卒業生が母国で活躍しており、そのネットワークは、国際連携の強化にもつながっています。

  また、将来的に結核の分野で国際協力を行う日本人を養成するための研修も実施しています。

  詳細は研修事業のページをご覧ください。

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研究

  結核研究所では、海外の結核状況と対策に関する研究が進められています。そのひとつとして、HIV合併結核の発生、進展、対策、社会学的側面について、タイ国チェンライ県で1995年より国際共同研究を実施しています。また、多剤耐性菌については、これまでカンボジア、フィリピン、モンゴル等で実施された薬剤耐性頻度調査に参画してきました。対策的研究としては、DOTSのための医療機関の連携、ボランティアの役割、結核有症状者の受診・診断の遅れ等の研究を行っています。

  詳細は研究事業のページをご覧ください。

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世界の結核情報の提供

 結核研究所に設置された国際結核情報センターでは、世界の結核情報(各国の疫学情報、結核対策の状況等)の収集・分析と提供を行っています。

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国際連携への参加
WHO・IUATLDとの協力

 結核研究所は、「WHO協力センター」に指定され、サーベイランス、調査、研究、研修、各国の結核対策への技術助言、抗酸菌レファランスラボラトリーといった活動を通じて、WHO西太平洋地域の問題の改善に尽力しています。

 IUATLD(国際結核肺疾患予防連合)(事務局:パリ)は、世界の結核・肺疾患対策を支援する国際連携機関で、各国の結核関係者や団体が会員となっています。結核予防会は構成会員として、年次総会、理事会、世界会議等に職員を派遣し、組織運営や事業に参加しています。

世界の動きの中で

 2000年の国連サミットで採択された、21世紀の国際社会の方向性を提示する国連ミレニアム宣言は、それまでの開発目標とあわせて「ミレニアム開発目標」として統合されました。2015年までに達成すべき8つの目標の1つには、HIV/AIDS、マラリア、結核等の疾病の蔓延を防ぐことが明記されています。

 また、2002年には、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)」が設立され、国際社会から大規模な資金を調達し、途上国が行う事業に提供しています。日本はその主要なドナー国となっています。

 一方、WHOは、結核に関するグローバルパートナーシップとしてストップ結核パートナーシップ(Stop TB Partnership)を設立、2006年、新たな「ストップ結核戦略」を策定し、ミレニアム開発目標の指標を補足するものとして、2015年までに「結核死亡数と結核有病率を1990年における数値から半減させ」、2050年までに「世界の結核罹患率を人口100万人対1人以下とする」ことを掲げました。

  ストップ結核パートナーシップ(事務局:ジュネーブ、WHO本部)は、世界750団体が参加する国際連携機関です。日本では、2007年にストップ結核パートナーシップ日本(STBJ)(事務局:結核予防会内)が設立され、結核予防会もパートナーの一員として活動しています。

 このように、世界が連携して結核の征圧に乗り出す中、日本においても、2008年7月に、外務省、厚生労働省、JICA、結核予防会、ストップ結核パートナーシップ日本が共同で、「ストップ結核ジャパンアクションプラン」を発表し、日本の官民が連携して結核対策の国際協力に取り組むことを表明しました。

 結核予防会は、これら世界の動きに参加し、ストップ結核ジャパンアクションプランの実現に向けて、活動を進めています。

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DOTS戦略とは

  WHOは、1991年以来、世界の結核対策成功のカギとして「2005年までに菌陽性肺結核患者の70%以上を発見し、発見した患者の85%以上を治癒させること」と単純明快な目標を掲げ、DOTS(Directly Observed Treatment, Short course;短期化学療法による直接監視下治療)を推進しています。つまり、治療の中断をなくし治癒率を高めるには、短期間(6〜8ヵ月間)で治療が完了する有効な化学療法を用い、さらに患者が薬を確実に服用していることを確認しながら治療を進めることが非常に重要、というわけです。

 WHOの6地域(ヨーロッパ、アフリカ、東地中海、南東アジア、西太平洋、アメリカ)のうち、2005年までの上記目標を達成できたのは西太平洋地域だけだったといわれています。このDOTSを全世界的にどのように進めるか、それがDOTS戦略といわれる所以です。

 2006年からWHOは新たな「ストップ結核戦略」を策定し、6つの柱からなるより包括的な結核対策の指針を発表しました。従来のDOTS戦略も第1番目の柱として組み込まれています。2番目の柱としては結核とエイズの二重感染の問題や多剤耐性結核への対策、3番目の柱としては保健システムの強化への貢献、4番目の柱としては公的医療機関と民間医療機関の連携強化等、5番目の柱としては啓発活動による住民参加の強化等、6番目の柱としてオペレーショナル研究や新しい診断方法等の開発のための研究が挙げられています。

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