結核予防会の創立から間もなく70年を迎えようとしています。この間、国を挙げての結核対策が展開され、日本における結核の蔓延状況は大きく改善しました。本会も学問的基盤に基づき、研究、研修、教育、普及啓発のあらゆる分野において果敢に取り組んできました。昭和14年の創立当時には群を抜いて大きな国民病であった結核は、新たな患者の届出数が59万人から2.6万人へと20分の一以下に減少しています。
 しかし、これは、結核対策の重要性が薄れたことを意味するものではありません。高齢者の結核の増加と付随する合併症の問題、都市部における若者、住所不定者や外国人の結核、多剤耐性結核など、結核は偏在する「しぶとい」感染症となり、新たな対策が求められているのです。
 また、多数の途上国では、結核は依然として公衆衛生上の大きな問題です。世界では毎年900万人が発病し、160万人が死亡すると推定されており、日本の優れた結核対策から学びたいとの大きな期待が寄せられています。
 一方、近年、生活の豊かさや高齢化等を反映して、肺がんやCDPDなどの結核以外の呼吸疾患が増加し、生活習慣病が現代の国民病として関心を集めています。長年の活動を通じて培った知識、経験、人材や組織を生かして、本会がこの対策に取り組むことは、時代の要請であり、人々のニーズに応えるものであると考えています。
 このように、本会は結核、結核の国際協力、結核以外の呼吸器疾患、さらに生活習慣病の4分野に活動を広げています。しかし、「結核予防会」という名称のとおり、今後も国内外の結核制圧に重点を置いて活動を続けることは言うまでもありません。結核に関しては中進国である日本において、結核根絶の日を迎えることを願いつつ、人々の健康の管理と増進に貢献すべく事業を進めていきます。皆様のご理解と一層のご支援のほどをお願い致します。
                 
 
財団法人結核予防会
 会長 青木正和
新たな前進を