結核についてご理解いただくため、
よく聞かれる一般的なご質問に
お答えします。

  • Q
    結核ってなに?
    A
    結核菌という細菌が体の中に入り、増えることによって起こる病気です。

    Qどこが悪くなるの?

    A日本では結核の約8割は肺です(肺結核)。結核菌が肺の内部で増えて、結核特有の様々な炎症が起こります。続いて肺が破壊されていき、呼吸する力が低下します。

    肺以外の臓器が冒されることもあり、腎臓、リンパ節、骨、脳など体のあらゆる部分に影響が及ぶことがあります(肺外結核)。

    Qどんな症状がでるの?

    A初期の症状はカゼと似ていますが、せき、痰(たん)、発熱(微熱)などの症状が長く続くのが特徴です。また、体重が減る、食欲がない、寝汗をかく、などの症状もあります。

    さらにひどくなると、だるさや息切れ、血の混じった痰(たん)などが出始め、喀血(血を吐くこと)や呼吸困難で死に至ることもあります。

  • Q
    うつるの?
    A
    結核は感染症なので、発病して病気が進行するとうつる(又はうつす)可能性があります。
    また、病状によっても異なります。

    Qどうやってうつるの?

    A結核を発病している人が、体の外に菌を出すことを「排菌」といいます。せきやくしゃみをすると飛沫(しぶき)に含まれる結核菌が空気中で飛び散り、それを他の人が吸い込むことにより「感染」します(空気感染)。なお、結核菌は紫外線に弱く、日光に当たると数時間で死滅します。

    Qうつるとどうなっちゃうの? (感染って?)

    A結核菌を吸い込んでも必ず「感染」するわけではありません。多くの場合、体の抵抗力により追い出されます。

    しかし、菌が体内に残ることがありますが、多くの場合、免疫によって封じ込められ、発病しません。ただし、高齢や合併症のために免疫力が低下すると、発病することもありますので、注意が必要です。

    Q「感染」と「発病」ってどうちがうの?

    A「感染」したからといって、全ての人が「発病」するとは限りません。「発病」とは感染した後、結核菌が活動を始め、菌が増殖して体の組織を冒していくことです。症状が進むと、せきや痰(たん)と共に菌が空気中に吐き出される(排菌)ようになります。

    ただし、「発病」しても「排菌」していない場合は、他の人に感染させる心配はありません。

    Qどうなると発病するの?

    A感染してから2年くらいの内に発病することが多いとされており、発病者の60%くらいの方が1年以内に発病しています。

    しかし一方で、感染後の数年~数十年後に結核を発症することもあります。なお、どういう理由で結核菌が増え始めて発病するのかは、まだよくわかっていません。免疫力が弱まっているときは、結核菌が再び活動を始め、発病しやすい状態と考えられています。抵抗力のない人(お年寄り、過労、栄養不良、他の病気による体力低下等)は注意が必要です。

    Q流行状況はどうなっているの?

    A今でも年間約17,000人の新しい患者が発生し、年間で約2,300人が命を落としている日本の最大級の感染症です(厚生労働省:平成29年結核登録者情報調査年報)。さらに世界に目をむけると、毎年実に160万人(HIV陽性者含む)も結核で亡くなっています (WHO, Global Tuberculosis Report 2018)。

  • Q
    結核かも…どうしたらいいの?
    A
    初期症状はカゼと似ていますが、2週間以上、せきや痰(たん)、微熱が続くようなら、早めに病院にかかりましょう。

    Qどこにかかればいいの?

    Aお近くの結核予防会の病院等でかかることができます(診療日、診療時間等は各施設へお問合せください)。お住まいの近くに結核予防会の病院等がない場合は、最寄りの保健所に問合せをすれば、地域で結核診療が可能な病院を教えてもらえます。

    「結核診療が可能な結核予防会施設の一覧」は、こちらから。

    「最寄りの保健所を調べる場合」は、「厚生労働省ホームページ保健所管轄区域案内」が便利です。

    Qどうやって調べるの?(感染)

    A「感染」については、ツベルクリン反応検査、インターフェロンガンマ遊離試験(IGRA)などにより診断できます。

    ツベルクリン反応検査

    ツベルクリンという液を皮内注射して、48時間後に判定します。結核菌に感染した人やBCG接種を受けた人は、皮膚が赤く反応します。ただし、反応が結核感染の為か、BCG接種の為か判断しにくい場合があります。

    インターフェロンガンマ遊離試験(IGRA)

    血液検査によって結核の感染を調べることができます。ツベルクリン反応検査と違ってBCGや非結核抗酸菌の影響を受けない利点があります。

    Qどうやって調べるの?(発病)

    A肺結核はX線を使った画像診断や細菌検査で診断します。

    X線撮影検査

    肺結核の「発病」については、胸部X線撮影を行い、疑わしい影がある場合はCTスキャンなどの精密検査を行います。

    喀痰(かくたん)検査

    結核菌を排菌しているかどうかを調べます。塗抹検査、培養検査、遺伝子検査などがあります。結核菌は増えるのが遅いので、培養検査では何週間かかかります。

    Q治るの?

    A昔は多くの方が亡くなりました。今は薬(抗結核薬等)が開発され、きちんと薬を飲めば治ります。しかし、病院への受診が遅れたり、診断が遅れたりしたために病気が進行して重症になった場合や免疫状態が著しく低くなった場合には死に至ることもありますので、注意が必要です。

    また、治療途中で薬を飲むのをやめてしまったり、指示された通りに薬を飲まなかったりすると、結核菌が薬に対して抵抗力(耐性)を持ってしまい、薬の効かない結核菌(耐性菌)になってしまう可能性があります。結核と診断されたなら、医師の指示を守って、治療終了まできちんと薬を飲み続けることが最も重要です。

  • Q
    結核と診断されたら…
    A
    医師の指示をよく聞いて従うことが重要です。結核は状況にもよりますが感染する(させる)恐れもあるので、医師・病院職員、保健所の説明をよく理解し、守るように心がけましょう。

    Q必ず入院するの?

    A結核が「発病」して結核菌をたくさん「排菌」している場合(痰の塗抹検査で陽性の場合)は、入院になります。「発病」しても「排菌」していない場合は、通院治療できます。

    Qどんな治療をするの?

    A基本的に薬で治します。3~4種類の薬剤を服用します。服用期間は、基本的に6ヵ月ですが、個人の病状や経過によって長くなることがあります。

    Q入院期間はどれくらい?

    A入院期間は、排菌が停止して他の人にうつさなくなったことが確認されるまでです。通常は約2ヵ月程度で排菌は止まりますが個人の病状や経過によって異なります。

    Q治療費って高いの?

    A結核の治療費用については、感染症法による公費負担制度(国・自治体からの治療費補助)があります。なお、公費負担額については、世帯の所得税額や入院、外来の違い等によって異なりますので、詳しくは、保健所、医療機関等にお問合せください。

    Q悪化させないために必要なことは?

    A結核は通常、薬(抗結核薬等)を医師の指示通りに飲めば治ります。大切なのは、医師から「薬を飲むのを止めてもいい」と言われるまで、処方された通りに薬を飲み続けることです。

    せきが止まったからといって勝手に薬の飲み方を不規則にしたり、飲むのを止めてしまったりすると、薬の効かない菌(耐性結核菌)ができることがあります。耐性結核は、通常の治療よりも多種の薬を、さらに長期間服用しなければならず、場合によっては、外科的治療も行われます。薬の飲み方を自分で判断しないことが大切です。

    Q周りの人は大丈夫?

    A患者が、周囲の人に感染させた可能性がある場合、患者の住所を管轄する保健所が、患者本人の病状を確認し、周囲の人の年齢、接触状況などを考え、「接触者健診」を計画し実施します。

    なお、結核菌の増殖には時間がかかる為、周囲の人への健診が実施される場合、感染源の患者が「結核」と診断されてから1~2ヵ月後くらいになることもあります。接触者健診の目的は、「感染」と「発病」を見つけることです。

    健診方法はツベルクリン反応検査やインターフェロンガンマ遊離試験(IGRA)などの他、胸部X線撮影を行う場合があります。 周囲の人への健診の結果、感染していると診断された場合は、抗結核薬による治療を行うことがあります。

  • Q
    結核を予防するには…
    A
    免疫力が低下しないように規則正しい生活を心がけましょう。また、栄養バランスのよい食事と十分な睡眠、適度な運動などが大切となります。

    Q普段から気をつけることは?

    A定期的に健康診断をきちんと受けることが重要です。また、カゼのような症状が長く続くようなら、病院を受診しましょう。他の人への感染を防ぐため、早期発見、早期治療が重要です。

    Q予防ワクチンはあるの?

    ABCGがあります。これは、結核の重症化を防ぐワクチンで、ウシ型結核菌の毒性を弱くしたものです。結核菌が後から侵入した時に備えて免疫をつけることができます。

    BCGは特に子供の結核予防に有効で、安全な予防接種として世界で広く用いられています。ただし、BCGの結核予防効果は10~10数年というところです。小児の結核予防には効果がありますが、成人の結核に対する予防効果は高くないとされています。

    Q乳幼児に必要なことは?

    A乳幼児は抵抗力が弱く、結核菌に感染すると髄膜炎や粟粒結核などの重症になりやすく、生命が危ぶまれることすらあります。乳幼児への結核予防には、BCGが有効です。

    現在、予防接種法により、乳幼児期の重症結核を早期に予防するため、生後1歳に至るまで(標準的接種期間は5ヶ月から8ヶ月に達するまで)BCGを接種することになっています。生後1歳までであれば費用は自治体等の負担で接種を受けられます(長期にわたり療養を必要とする疾病にかかったなど、特別な事情を除きます)。

    Q感染を未然に防ぐには?

    A可能性から言えば、家庭や学校・会社など規模の大小に関わらず、常に感染の危険性はゼロではありません。健康診断の対象となっている人はきちんと受ける、2週間以上せきが続く場合はすぐに病院にかかる、などを個々人が徹底することが重要です。徹底されてない方が周囲にいたら、お互いに注意し合うことでも予防につながります。

    Qマナーやエチケットは?

    A不特定多数の人が集まる空間も、潜在的な危険性がないとは言えません。重要なのは普段からの個々人の予防意識です。定期健診をきちんと受ける、咳をする場合には口元をティッシュや布で押さえる、またはマスクを着用する(咳エチケット)、カゼのような症状が続いたら早めに病院にかかる、というのは現代の社会的マナーと考えた方が良いでしょう。

  • Q
    結核と他の病気との関係は?
    A
    他の病気の療養中や病後など、一般的に体力が落ちて免疫力が低下している状態は、結核を発病しやすいので感染した方は注意が必要です。

    Q結核と他の病気との関係は?

    AHIV/AIDSの感染者は、感染していない場合と比べて、結核を発症するリスクが50~170倍高いと言われています。※)腎不全による血液透析、臓器移植に際しての免疫抑制剤の使用、免疫疾患の治療薬である生物学的製剤の使用、さらに、副腎皮質ステロイド剤の使用、コントロール不良の糖尿病、喫煙なども、発病リスクが高くなります。
    ※出典 日本結核病学会予防委員会・治療委員会.潜在性結核感染症治療指針.結核2013;88:497-512

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